
元国税専門官のベレットです。
「国家公務員になりたいけど、全国転勤は絶対に嫌だ…」
そんな理由で国税専門官を諦めようとしていませんか?
実は、その認識は間違いです。国税専門官は国家公務員の中でも珍しい「定住できる職種」なんです。元職員がその実態を解説します。
結論:国税専門官は「転勤族」ではない(引っ越しは稀)
まず誤解を解きますが、国税専門官になっても全国転勤はありません。
なぜなら、国税専門官は「国税庁」採用ではなく、全国11のブロックに分かれた「国税局」単位での採用だからです。
例えば「東京国税局」で採用されたら、定年までずっと東京国税局の管轄内(東京・神奈川・千葉・山梨)だけで働きます。
いきなり北海道や沖縄に飛ばされることは、100%ありません。
「転勤」というより「通勤場所が変わる」だけ
「でも、管轄内での転勤はあるんでしょ?」と思うかもしれません。
はい、3年〜5年に1度のペースで署の異動はあります。
しかし、これは引っ越しを伴う転勤ではなく、「通勤する電車が変わるだけ」のケースが大半です。
例えば東京国税局の場合、東京都内だけでなく神奈川や千葉の税務署も管轄ですが、交通網が発達しているため、「自宅からドアtoドアで90分以内」の署に配属されるのが暗黙のルールです。
マイホームを買って定住している職員も非常に多いのが実態です。
各国税局の管轄エリア一覧
自分が受験しようとしているエリアがどこまで含まれるか確認しましょう。
この範囲内での異動になります。
- 札幌国税局:北海道
- 仙台国税局:青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島
- 関東信越国税局:茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野
- 東京国税局:東京、神奈川、千葉、山梨
- 金沢国税局:富山、石川、福井
- 名古屋国税局:岐阜、静岡、愛知、三重
- 大阪国税局:滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
- 広島国税局:鳥取、島根、岡山、広島、山口
- 高松国税局:徳島、香川、愛媛、高知
- 福岡国税局:福岡、佐賀、長崎
- 熊本国税局:熊本、鹿児島、宮崎、大分
- 沖縄国税事務所:沖縄

東京国税局の場合、山梨県だけ少し遠いですが、行くのは若手のうちの数年だけだったり、実家が近い人が優先されたりします。
全員が必ず行かされるわけではありません。
結婚・子育て・介護…ライフイベントは考慮される?
受験生の皆さんが心配なのは、「将来、親の介護が必要になったら?」「結婚して子供ができたら?」という点ですよね。
安心してください。公務員はそこらへんのブラック企業より遥かにホワイトです。
最強の書類「身上申告書」
国税専門官は、年に1回「身上申告書(しんじょうしんこくしょ)」という書類を提出します。
- 結婚の予定がある
- 親の介護が必要になった
- 子供が小さくて保育園の送り迎えが必要
- マイホームを購入した
こうした事情を書いて提出すると、人事異動の際にかなり強力に配慮されます。
「介護があるから実家の近くの署がいい」「保育園のお迎えがあるから残業が少ない署がいい」といった希望が、通りやすい環境です。
もしパートナーが遠方に転勤になったら?
「自分は転勤がなくても、結婚相手が転勤になったら辞めなきゃいけないの?」
これも受験生によくある悩みですが、国税には「局間交流(きょくかんこうりゅう)」という裏ワザ的な制度があります。
これは、やむを得ない事情(配偶者の転勤など)がある場合、現在の国税局から、別のエリアの国税局へ移籍できる制度です。
例えば、東京国税局で働いていて、結婚相手が大阪に転勤になった場合、辞めることなく大阪国税局へ異動して働き続けることが可能です。
全国に組織がある国税専門官ならではの、最強の福利厚生と言えます。
結論:転勤の不安は捨てて、今は「合格」に集中しよう
まとめると、国税専門官の転勤事情は以下の通りです。
- 全国転勤はない(採用されたブロック内のみ)
- 引っ越しを伴う異動は少ない(通勤圏内が基本)
- 結婚・介護などの事情は最大限配慮される
- いざとなったら他局へ移籍も可能
「転勤地獄」のイメージは、昔のドラマや一部のキャリア官僚の話です。
現場の国税専門官は、「国家公務員の給与・安定性」と「地方公務員の定住性」のいいとこ取りができる、非常にコスパの良い職業です。
転勤の不安が解消されたなら、あとは試験に合格するだけです。
国税専門官は採用人数が多く、しっかりと対策すれば受かりやすい試験です。迷っている時間はもったいないので、今すぐ勉強を始めましょう。
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コメント
来年の春から国税専門官として働く予定のものです。大きく分けて3つの質問があります。
①どこの税務署が人気かご存知ですか?荒川区や足立区の税務署は人気でしょうか。
②差し支えなければ、ベレットさんが受験した時の大まかな席次を教えていただきたいです。
③勤務地は、職員が住む場所から1時間〜2時間で通えるよう配慮してもらえるものですか。また、希望の勤務地は第何希望まで出せますか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご回答よろしくお願いします。
→人気の税務署はあんまりない気がしますね。
→席次は真ん中くらいでした。
→だいたい配慮してもらえますよ。第3希望まで出せたと思います。
国税専門官の転勤について詳しく説明されていて参考になりました。特に、転勤の頻度や範囲が明確に示されていて理解しやすかったです。結婚や介護などの事情に配慮される点も安心できますね。ブロックごとの転勤が基本とのことですが、希望はどこまで反映されるのでしょうか?